「彼の頼りがいのあるところに惹かれて結婚したのに、今ではその自己中心的な態度にうんざり…」。こんな風に、結婚の決め手となったはずの相手の長所が、時を経て離婚を考えるほどの短所に変わってしまうことがあります。
TikTokできょうきみファミリーが投稿した同テーマの動画は、かなり多く再生されているのも印象的でした……。
なぜ、あんなに素敵だと思っていた部分が、許せない欠点に見えてしまうのでしょうか。この記事では、結婚理由が離婚理由に変わってしまうメカニズムと、そうならないための具体的な方法を、リアルなエピソードを交えながら探っていきます。
結婚の決め手がまさか離婚理由ってどういうこと?

「好き」が「嫌い」に変わってしまう現象の根底には、物事の「二面性」があります。人の長所と短所は、実は同じ性質の表と裏であることが多いのです。
例えば、「頼りがいがある」という長所は、自己主張が強く頑固であることの裏返しとも言え、状況によっては「自己中心的」という短所に映ります。同様に、「誰にでも優しい」は「八方美人で優柔不断」、「倹約家でしっかり者」は「ケチで窮屈」という見方ができてしまいます。
恋愛期間中は、相手の魅力的な部分、つまり長所に強く惹かれます。しかし結婚し、生活という「日常」を共にすると、その長所が時として自分にとって不都合な「短所」として牙を剥く瞬間を何度も目の当たりにすることになります。かつて安心感を与えてくれた「頼もしさ」が、自分の意見を封じ込める「支配」に感じられるようになった時、「結婚理由」は「離婚理由」へと姿を変えてしまうのです。
話題になっているきょうきみファミリーの動画
@koikyoma コレすごくない!? この問題についてどう思う? #夫婦 #夫婦あるある #離婚 #離婚危機 #カップルあるある ♬ shape of you – [𝐄]𝓿𝓪 ✦ ࣪
なぜ結婚した時の好きな部分が嫌いになる?

では、なぜ時間と共にあんなに好きだった部分が嫌いになってしまうのでしょうか。そこには、夫婦を取り巻く環境や心理の変化が大きく関係しています。主な理由を3つの視点から見ていきましょう。
恋愛と結婚のギャップが大きいから

結婚前は、彼の決断力がすごく頼もしく見えたの。でも最近は、私の意見も聞かずに何でも決めてしまうから、ただのワンマンな人にしか思えなくて…

わかる!うちは『面白い人』だと思ってたけど、毎日一緒にいるとデリカシーがないだけの人に感じる。疲れてるときに冗談を言われても、全然笑えないし。

そう!恋愛中のデートっていう『非日常』の関係と、結婚してからの『日常』では、相手への見方が全く違ってくるよね。恋の魔法が解けた、みたいな。
恋愛と結婚の最も大きな違いは、「非日常」から「日常」へと関係性が変化することです。デートの時だけ見えていた素敵な一面も、毎日顔を合わせる生活の中では当たり前の光景になります。その結果、これまで見えていなかった、あるいは見て見ぬふりをしてきた相手の欠点が目につくようになり、かつての長所さえも色褪せて見えてしまうのです。
- 恋愛は「非日常」、結婚は「日常」という意識を持つ。
- 相手の長所だけでなく、その裏にある短所も受け入れる覚悟が必要。
- 生活の中で気になる点があれば、早めにすり合わせを行う。
良い部分に慣れて嫌いな部分が目立つようになったから

夫のマメなところが大好きだった。毎日連絡をくれたり、小さなプレゼントをくれたり。でも、今ではそれが当たり前になって感謝も薄れて…逆に、私が少しでも雑な対応をするとすごく不機嫌になるから、窮屈に感じてきたの。

あー、なるほど。良い部分に『慣れ』ちゃうと、今度は悪い部分が目立ってくるのかも。うちは『おおらかな人』が好きだったけど、今じゃただの『だらしない人』。脱いだ服もそのままだし、毎日見ているとイライラが募る一方よ。
どんなに素敵な長所でも、毎日それに触れているうちに「当たり前」のものとなり、最初の頃のような感謝やときめきは薄れていきます。
この「慣れ」こそが、相手への見方を変えてしまう大きな要因です。
プラスの部分が当たり前になると、今まで気にならなかったマイナスの部分が目に付くようになり、「どうして〇〇してくれないの?」という不満が生まれやすくなります。
- 相手の良い部分を「当たり前」だと思わない。
- 感謝の気持ちを定期的に言葉で伝える。
- 自分自身も相手に「慣れ」て雑な対応をしていないか振り返る。
子どもができてお互いが雑になった

子どもが生まれる前は、夫のマイペースなところも『癒やしだな』って思えてた。でも今は、こっちが子育てで分刻みで動いてるのに、一人だけソファーでくつろいでると、本当に腹が立つ。

すごくわかる!うちは『仕事熱心なところ』を尊敬してたけど、今は『家庭を顧みない人』としか思えない。ワンオペ育児の辛さを全然わかってくれないんだもん。
子どもの誕生は、夫婦関係を大きく変えるターニングポイントです。生活は子ども中心になり、夫婦は親としての役割に追われ、お互いに心身の余裕がなくなります。その結果、相手への思いやりや配慮が欠け、コミュニケーションも不足しがちになります。余裕のない状況では、かつて長所だと思っていた部分でさえ、自分を追い詰めるイライラの原因に変わってしまうことがあります。
- 夫婦二人だけの時間や会話の機会を意識的に作る。
- 「言わなくてもわかるはず」という期待を捨て、自分の状況や気持ちを具体的に伝える。
- お互いの頑張りを認め、ねぎらいの言葉を掛け合う。
まさかの離婚理由が結婚理由だったエピソード5選

ここでは、多くの夫婦が経験するかもしれない「結婚理由が離婚理由に変わった」具体的なエピソードを5つご紹介します。自分たちの関係に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。
リードしてくれたはずが自己中人間に

デートの計画からお店の予約まで、全部スマートに決めてくれる彼が本当に素敵で結婚したの。この人についていけば間違いないって。

理想的じゃない!でも、うまくいかなかったの?

結婚したら、家のことから週末の過ごし方まで、全部彼が勝手に決めるようになったの。『俺が決めたんだから』って。私の意見は一切なし。頼もしかったリーダーシップが、ただの独裁と自己中心的な態度にしか見えなくなっちゃった。
決断力があり、ぐいぐい引っ張ってくれる姿は非常に魅力的に映ります。しかし、その根底にあるのが「相手を思いやる気持ち」ではなく「自分の思い通りにしたい」という欲求だった場合、結婚生活では深刻なすれ違いを生む原因となります。
- 何かを決める際は、大小にかかわらず相手の意見を聞く習慣をつける。
- 「報告」ではなく「相談」を心がける。
- 相手の決定に感謝を伝えつつ、「次はこうしてみたい」と自分の希望も伝える。
沢山食べるのが好きだったはずが食べつくし人間に変貌

あなたの『美味しい!』って言いながら、何でもたくさん食べてくれる姿が大好きだった。作りがいがあって、本当に嬉しかったの。

今も感謝してるよ。でも急にどうしたの?

でもね、最近は度が過ぎるのよ!私が楽しみに取っておいたデザートや、明日の子どものお弁当に入れようと思っていたおかずまで、全部食べちゃうじゃない!あれはもう『気持ちよく食べる人』じゃなくて、ただの『食い意地の張った食べつくし人間』よ!
美味しそうにご飯を食べる姿は、見ている側も幸せな気持ちになります。
しかし、そこに相手への配慮が欠けてしまうと、その魅力は一瞬で「自分勝手」「卑しい」という印象に変わってしまいます。特に、楽しみにしていたものを食べられてしまう悲しみは、小さなようで根深い問題になりがちです。
- 冷蔵庫の中の食べ物には、誰のものか分かるように名前を書くなどルールを作る。
- 「これは食べてもいい?」と一声かける習慣を徹底する。
- 相手の分も少し多めに作るなど、量で解決する。
おしゃれが好きが悪い方向に…コスメや洋服代で家計がピンチに

妻はいつも綺麗でおしゃれなところに惹かれたんだ。流行にも敏感で、一緒に歩いているのが自慢だった。

今も素敵な奥さんじゃないか。

見た目はね。でも、その美貌を維持するための出費が家計を圧迫してるんだ。毎月のように新しい服やコスメを買ってきて、カードの請求額に目が飛び出る。結婚前は素敵な趣味だと思ってたけど、今はただの浪費癖にしか見えなくて…。
身だしなみに気を使い、常におしゃれなパートナーは魅力的です。しかし、結婚して家計を共にするようになると、そのための出費が現実的な問題としてのしかかります。「自己投資」と「浪費」の境界線は曖昧で、夫婦間で金銭感覚のズレが大きいと、深刻な対立の原因になります。
- お小遣い制を導入し、その範囲内でおしゃれを楽しんでもらう。
- 家計簿を共有し、毎月の収支をお互いに把握する。
- 「年に〇回まで」など、高価な買い物に関するルールを決める。
優しすぎる人が周りにも優しすぎて構ってもらえない

彼は本当に心が温かくて、誰にでも平等に優しいところに惹かれたの。困っている人を放っておけない、そんな人だから信頼できた。

素敵な方だね。その優しさが、今は辛い原因になっている…と

うん…。休日でも後輩の相談に乗って半日潰れたり、友人の用事に付き合ったり。家族との約束を後回しにすることもあって…。『誰にでも優しい人』は、裏を返せば『家族を特別扱いしてくれない人』なんだって気づいちゃった
博愛主義で誰にでも親切な人は、人間的に素晴らしいと評価されます。
しかし、その優しさが「断れない」「優先順位がつけられない」という弱さから来ている場合、最も身近な家族が犠牲になってしまうことがあります。
「みんなに優しい」と「一番大切にしてくれる」は、必ずしもイコールではないのです。
- 「家族との時間」を最優先事項として、あらかじめスケジュールに組み込む。
- 断るのが苦手なパートナーに代わり、「家族の予定があるので」と断る手助けをする。
- 家族を優先してくれた時に、大げさなくらい感謝と喜びを伝える。
倹約家で将来安心なはずがケチすぎて何もできない

お母さん聞いて!結婚するなら、金銭感覚がしっかりした人がいいと思ってた。彼は本当に倹約家で、将来設計もちゃんとしてたから、この人なら安心だって思えたの。

しっかりしてるじゃない。何が不満なの?

その『しっかり』が度を越してるのよ。外食はクーポンが使える店だけ、旅行は一番安いプランを探して現地では何も買わない、子どもの服は全部お下がり。節約は大事だけど、人生の楽しみまで全部削られてるみたいで。もはや倹約家じゃなくて、ただのケチ。息が詰まるの。
将来を見据えた堅実な金銭感覚は、結婚相手として非常に重要な要素です。
しかし、「節約」が行き過ぎて「ケチ」の領域に入ってしまうと、日々の生活から潤いや楽しみを奪ってしまいます。「お金を使わないこと」自体が目的化してしまうと、家族旅行やささやかな外食といった、人生を豊かにする経験の機会を失うことになりかねません。
- 「楽しむためのお金」として、レジャーや外食費の予算をあらかじめ確保しておく。
- 節約の目標(〇年後に家を買う、など)を共有し、モチベーションを高める。
- お金のかからない楽しみ(公園でピクニック、図書館に行くなど)を一緒に見つける。
結婚理由がデメリットにならないためには?

一度は愛した相手の長所。それを嫌いにならず、ずっと好きでい続けるためには、お互いの歩み寄りと日々の心がけが不可欠です。ここでは、そのための具体的な方法を3つご紹介します。
目をそらさず嫌なときに指摘する

ごめん、また君の意見を聞かずに決めちゃったかな。最近、俺のこういうところが自己中に見えてるんじゃないかって、少し気になってて

気づいてくれてたんだ。正直、少し寂しいなって思う時はあったかな。『決めてくれて助かる!』って思う時も沢山あるんだけど、たまに『それは一言相談してほしかったな』って

そっか。我慢させちゃってたんだな。これからは気をつけるよ。もしまたやりそうになったら、その場で『ちょっと待った!』って言ってくれる?
小さな不満や違和感を「これくらい言わなくても」と我慢し続けると、いずれ大きな溝になります。相手の長所が短所として顔を出した時、感情的にならずに「私はこう感じた」「次はこうしてくれたら嬉しい」と、その都度冷静に伝えることが大切です。早めに軌道修正することで、問題が深刻化するのを防げます。
- 相手を非難するのではなく、「私」を主語にして自分の気持ち(Iメッセージ)を伝える。
- 問題が起きたその日のうちに、時間を置いて冷静に話す。
- 具体的な改善案をセットで提案する。
良い部分をほめ続ける

あなたって、本当に誰にでも優しいよね。さっきも、お隣のおばあさんの重い荷物を持ってあげてたでしょ。そういうところ、結婚する前からずっと変わらなくて、本当に尊敬してる

え、そうかな?当たり前のことだよ。

ううん、当たり前じゃないよ。あなたのそういう温かいところが、私は大好きなんだって改めて思ったの。いつもありがとう
結婚生活が長くなると、相手の良い部分も「当たり前」になり、わざわざ口に出して褒める機会は減っていきます。
しかし、意識的に「その部分が好き」「助かっている」と褒め続けることで、相手は自信を持つことができ、自分自身もその長所を再認識することができます。
感謝の言葉は、慣れによって色褪せかけた魅力を、再び輝かせる力を持っています。
- 具体的な行動を挙げて褒める(「優しいね」より「〇〇してくれて優しいね」)。
- 思ったその瞬間に、タイミングを逃さず伝える。
- 記念日や節目に、改めて相手の好きなところを手紙などで伝える。
自分の嫌な部分が無いか聞き合う

なあ、最近、俺のことで『ここ、直してほしいな』って思うところってある?俺も君に甘えて、無神経なことしてないか心配で

そうだなあ…。じゃあ、お互いに一つずつ言い合ってみる?私も、あなたに対して雑になってるところがあるかもしれないし。勇気がいるけど、大切なことだよね。

うん。じゃあ俺から言うけど…。
相手に不満を感じる時、実は自分も相手から同じように思われている可能性があります。
関係がうまくいかない原因を相手だけに求めるのではなく、「自分にも改善すべき点はないか」と問いかける姿勢が大切です。
定期的に「私のことで気になるところはない?」と聞き合い、お互いの欠点を指摘し、改善努力をする関係性は、非常に健全で長続きします。
- 相手の意見を、途中で遮ったり反論したりせずに最後まで聞く。
- 指摘されたことに対して、まずは「教えてくれてありがとう」と感謝を伝える。
- 完璧を目指すのではなく、一つでも改善しようと努力する姿勢を見せる。
まとめ
結婚の決め手となった長所が、離婚の原因になるのは、決して珍しいことではありません。人の長所と短所は表裏一体であり、共に過ごす時間や状況の変化によって、その見え方が変わってしまうのは自然なことです。
重要なのは、「相手が変わってしまった」と一方的に嘆くのではなく、「なぜ自分にはそう見えるようになったのか」と考え、対話によってすり合わせを行うことです。「頼もしさ」が「自己中心」に見えるなら相談する時間を作り、「優しさ」が「八方美人」に感じるなら家族を優先してほしいと素直に伝える。そうしたコミュニケーションが、すれ違いを防ぎます。
かつて愛した相手の素敵な部分を、これからも愛し続けるために。当たり前になった長所を改めて褒め、気になる短所は溜め込まずに伝え合う。そんな地道な努力の積み重ねこそが、夫婦の絆をより深く、本物の愛情へと育ててくれるはずです。